2010年02月27日
トーノZEROアニメ感想宇宙戦艦ヤマト total 3737 count

日本海軍を象徴するフネはどれなのか、とヤマト完結編問題

Written By: トーノZERO連絡先

 以下はミーハーがへろへろと書いている文章なので、信じてはいけません。

 さて。

 日本海軍を象徴的に身をもって体現するような軍艦とは何か、ということを考えてみましょう。ちなみに、「へへへ。実はフランスの戦艦が好きなんだぜ。来るなら来てみろ、へっぽこ連合軍め。未完成でも4連装砲塔全部集中配置で撃退してくれる。でも敵がどいつかと言えばドイツ」という話は横に置くとして。(ってか、それはタダのドイツだじゃれ)

 常識的には戦艦大和でしょうが、これを日本海軍が思い描いた理想型とは思えません。劣勢を意識して過剰に大きくなりすぎたのと同時に、やはり「これだけの機能をこのサイズに収めたことが凄いのだ」とどこかの本に書いてあったとおり、やはり機能に比して詰め込みすぎの感があります。

 ならば三笠はどうかといえば、これはイギリス製です。日本海軍の師匠はイギリス海軍であり、師匠のお力を借りている感じで英国風の感じもあって、日本海軍を代表させるにはためらいがあります。

 そうすると、やはり「八八艦隊」というのが日本海軍の理想型を体現する存在として良いのでしょうが、実際は途中で頓挫して破棄された構想です。しかも、これは徐々に完成度を上げていく進化する計画ですから、いくら最初の長門が完成していても、これは手堅くまとめた最初の1隻に過ぎません。八八艦隊を代表する1隻とは言えません。

 そして長門も陸奥もすぐに軍縮条約の荒波に飲み込まれてやはり詰め込みすぎの傾向に巻き込まれていきます。

 そういう意味で、軍縮条約の申し子とも言える重巡洋艦群もやはり詰め込みすぎです。これを代表とすることはためらいがあります。(ただし、初期の4隻は別として)

 そうなってくると、実は「満足のいくフネなど無いのではないか……」と思えてきますが、実はそうではありません。

 八八艦隊は主力艦だけ見ていると未完成に思えますが、水雷戦隊は別です。水雷戦隊を率いるべき5500トン級軽巡洋艦はたっぷり完成しており、いくら夕張は3500トンで5500トン並の武装だぞと誇っても今更量産しないぐらい既に揃っていたわけです。

 実は、この5500トン級軽巡洋艦の最終タイプである4本煙突のタイプが好きだったりするわけですね。これは、いかにも「本当に航海して戦えそうだ」と思えるフネです。実際、この4本煙突の「神通」が探照灯で敵を照射してやられている間に配下の駆逐艦が勝利をもぎ取ってくるようなドラマチックな話を残っているわけで、「予算もないのに夢想した誇大妄想的な主力艦構想」よりも、「小艦でも巨大な敵を倒すハイリスクの賭」の方が実は日本海軍らしいのかも。回すとフネが傾く巨大砲より小口径砲というのが日清戦争だったようだし。

 しかし、いかんせん5500トン級軽巡洋艦は古すぎると思うなら、浮上してくるのがその正当な後継者としての阿賀野型軽巡です。これは、条約型巡洋艦のうように、規定された範囲内で可能な限り詰め込むような無理とは無縁であり、全般的にゆとりのあるデザインです。

 そして、大和最後の出撃で護衛艦隊の先頭に立った矢作とは、この阿賀野型軽巡です。実は、ハセガワが矢作を1/350で模型化したのは、要するに「日本に昂ぶっている」勘違いした顧客への「大和のオマケ」としてのサービスに過ぎないと思いつつも、やはり阿賀野型軽巡のしっかりした模型が出ることは意義深いのだろうと思うわけです。

 しかし、ずっと艦船模型はもはや縁遠い物だと思っていました。あまりにも手間が掛かりすぎる凄い作例の数々を雑誌で見てしまうとね。

 でも、今月のモデグラを見て、工作の時間が2/3ないし半分になるほどアフターパーツが充実してきているという話を読むと、あるいは自分にも艦船模型を作る余地があるのだろうかと思ってしまいます。

 ところが、そのままページをめくっていって、やはり凄い作例の写真を見た瞬間に挫折しました。やはり、おいらには縁遠い世界のようで。

 ただ、これだけは言えます。

 「仮に軍艦の模型を作るとなったら、同じ全長だとして小スケールの巨大戦艦よりも、大スケールの小艦がいい」

 スケールが大きければ、それだけ人の存在感を作り込みやすいですからね。

 そういう意味でも戦艦より軽巡です。

 いや、それを言ったら駆逐艦の方がもっと良いと言われそうですが。(なに、PTボートの方がもっといい? 今ならLCACもあるでよ。ゴア少佐のエルキャック部隊だ、今夜は宴会だぞ!)

 でも、たぶん大和と矢作のどっちを作る?と言われたら矢作でしょう。

 (なに? ヤマトと矢作のどっちを作る?と言われたら? もちろんヤマトだ!)

 ……という話を延々としていてここにたどり着くわけですが。

 ヤマト完結編は大和最後の出撃をモチーフにして9隻の護衛艦が合流して一緒に行くわけですが、9隻がすべて駆逐艦であり、矢作に相当する艦だけがいないのですよ。

 そのことに、やはり重大な意味があるのだろう、と思います。

実は敵が §

 と、そこで気付いたのですが、このヤマトの敵は「ハイパー放射ミサイル」を搭載した一種の水雷艇であり、水雷艇母艦から出撃してくる一種の水雷戦隊です。

 つまり、水雷戦隊旗艦を想定して建造された矢作に相当する艦は出ず、出てくるのは水雷戦をあまり想定していない対空用の冬月に相当する名前を持つ冬月というのは、あまりにもできすぎています。

 ああそうか。

 つまり、「ハイパー放射ミサイル」のモチーフが「酸素魚雷」であり、これが切り札になるわけだ! 航跡もなく忍び寄る悪魔によって壊滅させられる地球艦隊は、実はアメリカ海軍風だ。

 そうやって解釈すると、魚雷戦の要素は地球側から徹底的に排除される必要があり、矢作に相当する艦は出られないわけだ! しかし、基本的に対空用の冬月は出られるわけだ!

 とすれば、ディンギルに巨大な要塞はあれど、印象的な巨大戦艦が存在しない理由も明らかです。ディンギルとは基本的に「我が身を省みず装甲もないブリキ缶で敵に突入し、必殺の魚雷を撃ち込む」という戦い方が基本だからです。従って、彼らは基本的に「守る」という発想が無く、必然的に戦えないものを置き去りにして宇宙に乗り出すことになります。

 それに敗北してしまうと彼らにはもう守るという発想はなく、死があるのみです。ウルクの防御は実は「敗者」が逃げ帰るのを阻止するために発動されたものであり、本質的にはヤマトの攻撃を防ぐためのものではありません。結果的にそうなっているだけで、契機はおそらく違います。

 このあと、戦いは「聖地」を巡る陸上戦となり、ヤマトは陸上に乗り上げて陸上砲台になりますが、ここで陸上戦になる理由は明らかです。水雷戦隊だけから構成される艦隊の敗北とは、すなわち「海戦の終わり」を示すからです。これがたとえば護衛空母を守っている駆逐艦であれば、最後の1隻まで煙幕を張って撤退を援護するところですが、ディンギル艦隊にはそういう意味での「守る」という発想がありません。従って、あとは陸戦で戦うしかありません。そういうわけで、ロボットホースが登場して陸戦へと突入です。

 陸兵と陸に乗り上げた海兵の戦いは、陸兵の優位に進みますが、実はヤマトが艦尾を上げてコスモタイガーを発進させてしまうと「航空優位」によって戦局は逆転してしまいます。しかし、ここはもう「島の最後の見せ場」としてあるだけで、実際は「驚くほど射程の長い悪魔」を「もっと射程が長いヤマトの波動カートリッジ弾」で、偵察機の情報を元にアウトレンジで叩いてしまった時点で勝敗は決していたと見るべきでしょう。

 ついでに言えば、これが「水平線の向こうまで届く」大和の主砲の戦いをモチーフにしているわけでしょう。この世界観において、航空機の役割は戦艦から見えないが届く場所にいる敵の所在を明確にすることであり、古代の役目はまさにそれであったと言えます。

 とすれば、これは本当に特攻を前提とした出撃なのか、という疑問も出てきます。というのは、このようなアウトレンジ攻撃は、「敵から撃たれない場所から一方的に叩く」ことが前提であり、当然敵から撃たれないで一方的に敵を叩く「卑怯な」作戦だからです。

実はもう1つ §

 敵が使うのが酸素魚雷だとすると、敵もヤマトも「日本海軍」風になってしまいます。

 すると、「ディンギルは同族」という設定の意味が分かってきます。

 つまり、同族だからどちらも日本的な兵器を使うわけです。ただ、ディンギルは「敗戦」を知らないわけです。従って、地球艦隊はアメリカ風の海上自衛隊という位置づけであり、ディンギルは敵味方を誤認して攻撃してきます。

 従って、これは映画「海底軍艦」的な世界観です。かつてのイー403の乗組員は敵と戦うために反乱して潜伏したわけですから。

 更に言えば、これは「征途」ですね。実は「東」がディンギルであり、「西」が地球であるとすれば、日本人同士で戦い、アメリカ風の海上自衛隊に戦艦大和が混ざっているという光景がそのまま現出します。

 というか、征途なのか! いや、海底軍艦を引き合いに出して語ることは既に予測の範疇であったが、征途なのか!

 仮に、「日本人同士」が隠れモチーフなら、位置づけが見えにくいクイーンアクエリアスの位置づけは、さしずめ天照大神(あまてらすおおみかみ)といったところでしょうか。従って、もう生身の女性としては出てこないわけですね。

宇宙戦艦ヤマト

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